間 章の追悼出版会の雰囲気を余すことなく書かれている
陸封魚、最初エッチングのニードルの先で点を描いたが、あまりの細かさで腐食に失敗。締め切り2日前に急きょロットリングで描き直した。
筆文字は晩年習字を習い始めた父の字。どんな病の日でも、 必ず一日一度は筆を持った。上手くはないが”無欲の字”を書いていたことは私も分った。
この『陸封魚』は文字通り私の本箱の片隅に20年間封印されていた。
数年前、吉沢元治をネットで検索していたら思わぬところで『陸封魚』の元気な姿を発見した。
自他共に認める SFホラー界の転載、もとへ、SFホラー界の記載である、田中啓文氏のどっかへ行く前の日記の中で生きながらえていた。
吉沢元治の亡くなった当日の日記の中でインランド・フィッシュの吉沢元治の音とこの絵について丁寧に書かれていた。
その中で、この絵の『陸封魚』の中にハツカネズミが居ると書いてあった。
私はハツカネズミなどは描いた覚えは全然なかったので、本当かと思って20年間の封印を解き、ほこりを払ってあらためて見直してみた。
はたして『陸封魚』の臀部のあたりにハツカネズミは住み着いていた。
腐敗したはらわたを食いつなぎ生きながらえていたのか、 笑わぬ『陸封魚』を哀れんで、おなかをこちょこちょくすぐって笑わそうと努力し続けていたのだろうか。
それにしても田中啓文氏の視点は鋭い。やはりSFホラー界の天才かつ奇才と言われていることは正しく、間違いない。
茶川賞受賞作家の 田中啓文氏の日記で触発され、 20年間本箱の片隅で封印されていた『陸封魚』を引っ張り出して掲示しようと思った。
I N L A N D F I S H
深夜2時近い 六本木のケンタッキーフライドチキンでベガーズと一緒の間章と落ち合い、仕事の終わる吉沢元治を待った。
しばらくして ”メキシコ人” のような吉沢元治が 『ムヨッ!』 と言って入ってきた。 間章があらためて紹介してくれた。
”メキシコ人”の友人はいないが、 黒くて太い眉毛と鬚、日焼けした顔に良く動くまなこ、あまりの屈託の無さに、安易にそう思った。
皆は最低の注文で長時間話した。