発酵食品の街・沼垂
2004/219
二月二十一日・二十二日に朱鷺メッセでスローフード・スローライフ展が開催される。
この一年で『スロー』なる言葉がマスコミに氾濫してきた。今まで速さを自慢していたメーカーも気がついたらスロースローと口早に叫んでいる。何が本物のスローなのか。
心臓に負担をかけず新陳代謝が活発になるという太極拳を昨年から習い始めた。ゆったりと動く太極拳だが、武術太極拳は映画マトリックス以上のスピードがある。ゆっくりした動作がきちんとできなければ速い動きも完成しない。見た目で、速い動作はごまかしが利くが、ゆったりした動作はごまかしが利かない。中国四千年のスローだ。
またスローフードの王道に人類と共にあった『発酵』がある。発酵している間、酵母菌はフルスピードで働くが、人間は焦らず待つしかない。
新潟市沼垂の栗の木バイパスは以前は大きな生活河川だった。その両脇に木材問屋や酒、味噌醤油などの醸造所があり沼垂の繁栄を支えていた。
現在は、高架バイパス案が決定され、道路幅は今の倍になるという。しかし国ももはや金がない、予算が決まらなければ役所も知らん顔だ。両脇の線引きされた土地に住む人達は建て替えも難しく、過去にも未来にも動けない。
そんな沼垂の酒、味噌醤油、納豆の製造元の旦那衆と地域の人たちが集まり、『発酵食品の街・沼垂』と命名し盛り上げていこうと頑張っている。
古くから酵母と一緒に生活してきた皆さんは筋金入りのスローフード魂を持っている。
『発酵食品の街・沼垂』と言うブランドで酒、味噌醤油、納豆を出品すると言う。至高の四社合せ味噌や大吟醸の酒粕と焼き味噌納豆を重層した『沼垂四天王』はどんな物なのか楽しみだ。
人間の食や生活スタイルを生物本来のリズムに合わせていけば健康になると言う当たり前のことをマスコミは大騒ぎしている。とはいえ、時代に左右されず地味な『酵母菌』を大切に慈しんできた人達に光が当たることはうれしいことである。
志賀恒夫